役割指定(Role Prompting)とは

役割指定は、「あなたは人事部の採用担当です」のように、AIに立場を与えて、回答の観点や言葉づかいを寄せる手法です。校正者、面接官、サポート担当など、期待する振る舞いがはっきりしている場面で使います。

立場を与えると、その立場の人が気にする点や使う語彙が、出力に表れやすくなります。たとえば「法務担当として」と指定すると、契約書の確認で、リスクの指摘に重点が置かれやすくなります。

ただし、役割は観点を寄せるものであり、知識や正確さを足すものではありません。「弁護士として」と書いても、法的に正しい答えが保証されるわけではありません。根拠の提示や、人による確認と組み合わせます。

効果を高めるには、役割の名前だけで終わらせず、誰に向けて何を重視するかまで書きます。役割を会話全体に効かせたいときは、システムプロンプトに置くのが一般的です。

具体例

新人向け研修資料のレビュー

悪い例の「優秀な専門家」は、何の専門家で、何を見ればよいのかが分かりません。良い例は、役割に加えて、読み手(新入社員)と重視する観点を決めています。役割は、観点とセットで書くと効果が出やすくなります。

悪い例

あなたは優秀な専門家です。この資料をレビューしてください。 (研修資料)

良い例

あなたは、新入社員の教育を長く担当してきた研修担当者です。 次の研修資料を、新入社員が一人で読んで理解できるか、という観点でレビューしてください。 # 重視すること - 説明なしに使われている専門用語 - 手順の抜けや、順序の分かりにくさ # 出力 指摘を「箇所」「問題」「直し方」の表にし、重要な順に5件まで # 研修資料 (研修資料)

同じ文書を複数の立場で読む

新しい社内規程の案を、「現場の社員」「法務担当」「情報システム部門」の3つの立場で順に読ませると、立場ごとの懸念を洗い出せます。一人の視点では気づきにくい抜けを、検討の早い段階で拾うための使い方です。最終的な判断は、実際の担当者が行います。