コンテキストエンジニアリングとは

コンテキストエンジニアリングは、モデルに渡す情報全体を設計する技術です。対象は指示文だけでなく、システムプロンプト、会話履歴、参照文書、ツールの定義と実行結果まで含みます。

モデルが一度に読める量(コンテキストウィンドウ)には上限があります。そのため「何を入れるか」「どの順で並べるか」「どれだけ削るか」を決める必要があります。固定の情報を前に、毎回変わる情報を後ろに置き、古い履歴は要約して整理するのが基本です。

プロンプトエンジニアリングが1回の指示の書き方だとすれば、コンテキストエンジニアリングは作業全体の情報の流れを扱います。AIエージェントのように何十回もやり取りを重ねる使い方で、特に重要になります。

情報は足りなくても、多すぎても精度が落ちます。関係の薄い資料を大量に入れると、モデルが肝心な部分を見落とします。必要な情報を、必要な分だけ渡すことが目標です。

具体例

議事録から提案書を作る

議事録を丸ごと貼るのではなく、顧客の課題・予算・期限だけを抜き出して渡します。社内の提案書の型は毎回同じなので、システムプロンプト側に固定で置きます。

悪い例

以下の会議の文字起こし(2時間分)と、過去の提案書10本を読んで、提案書を作ってください。 {文字起こし全文} {過去の提案書10本}

良い例

## 顧客の状況(議事録から抽出済み) 課題:問い合わせ対応に1日3時間かかっている 予算:年間500万円以内 期限:来年4月稼働 ## 参考にする提案書 同業種の事例1本:{提案書A} ## 依頼 上の状況に合わせて、提案書の「課題」と「解決策」の章を書いてください。

長い作業での履歴の整理

エージェントが20回以上ツールを使う作業では、古い実行結果をそのまま残すと上限に近づき、精度も落ちます。区切りごとに「分かったこと」と「残りの作業」を短く要約し、詳細は外部のメモに保存して必要なときだけ読み込ませます。