6-1. AIエージェントの基本概念と意義
AI エージェントは、目標を与えられると自分で手順を組み立て、ツール(検索、コード実行、社内システムの API など)を呼び出しながら作業を進めるプログラムです。「一問一答」の対話型 AI と違い、複数の段階を自律的に進めます。
意義は、人が手順を逐一指示しなくても仕事が進むことにあります。一方で、目的や制約が曖昧だと誤った方向に作業を重ねてしまうため、指示の質がこれまで以上に結果を左右します。
- 自律性・ツール利用・反復(ループ)がエージェントの3要素
- 曖昧な指示ほど誤った作業が積み上がる
6-2. AIエージェントの内部ループ
エージェントは「状況を認知する → 次の行動を判断する → ツールを実行する → 結果を認知する」のループを、目標を達成するまで繰り返します。途中の状態(何をして何が分かったか)を保持する状態管理が要で、長い作業では要約や外部メモリで管理します。
止まらない・堂々巡りする・危険な操作をする、といった失敗を防ぐため、最大回数、承認が必要な操作、完了条件を設計に組み込みます。
- 認知 → 判断 → 実行の反復
- 最大回数・承認ポイント・完了条件を必ず決める
6-3. コンテキストエンジニアリング総論
コンテキストエンジニアリングは、モデルに渡す情報全体(指示、履歴、文書、ツールの説明、出力例)を「限られた窓の中で何を、どの順で、どれだけ渡すか」という観点で設計する技術です。プロンプトエンジニアリングを、1回の指示から作業全体の情報設計へ広げたものと言えます。
品質は「必要な情報が入っているか」「不要な情報で薄まっていないか」「矛盾していないか」で評価します。
- 何を・どの順で・どれだけ渡すかの設計
- 足りない情報と、多すぎる情報の両方が精度を下げる
6-4. コンテキストの構成要素と階層配置
典型的な構成は、システムプロンプト(役割・ルール・出力形式)、ユーザーの指示、会話履歴、参照文書(RAG の検索結果など)、ツールの定義と結果です。優先度の高い固定情報を前に置き、頻繁に変わる情報を後ろに置くと、安定性とキャッシュ効率が上がります。
履歴は伸び続けるため、古い部分の要約や、不要になったツール結果の削除といった整理が必要です。
- 固定情報は前、変動する情報は後ろ
- 履歴は要約・削除で整理する
6-5. ツール呼び出しと関数設計
Function Calling(ツール呼び出し)では、モデルに「使えるツールの名前・説明・引数の形」を渡し、モデルが必要と判断したときに構造化された呼び出しを返します。実行はプログラム側が行い、結果をモデルに返します。
良いツール設計は、名前と説明が具体的で、引数が少なく、失敗したときのエラーが分かりやすいことです。外部 API を呼ぶときは権限を最小にし、取り込んだ外部文章は指示として扱わない(プロンプトインジェクション対策)を徹底します。
- ツール定義=名前・説明・引数の形。実行はプログラム側
- 権限は最小に。外部文章は指示として扱わない
出題の傾向と勉強のコツ
- 「対話型 AI との違い」を3要素(自律性・ツール・ループ)で説明できるようにする
- コンテキストの5要素(システム・指示・履歴・文書・ツール)と配置の原則を図にする
- 練習問題の「AIエージェント」カテゴリで確認する