倫理・法務・リスク

個人情報・機密情報の入力管理

生成AIに入力してよい情報の範囲を決め、匿名化・マスキングをしてから渡す運用。

個人情報・機密情報の入力管理とは

個人情報・機密情報の入力管理は、生成AIに入力してよい情報の範囲を組織で決め、守る運用です。顧客の氏名や連絡先、社員の人事情報、未公開の財務情報、取引先との契約内容などが主な対象です。

入力した情報は、サービスの提供者のサーバーに送られます。設定や契約によっては、保存されたり、サービス側の改善に使われたりします。いったん外部に出た情報は、後から取り消すことが難しくなります。

個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めました。本人の同意なく個人データを入力し、応答の出力以外の目的で扱われる場合は、法律に違反する可能性があるとしています。

実務では、情報を「入力してよい」「加工すれば入力してよい」「入力禁止」に分け、例を添えて周知します。氏名を記号に置き換える加工(マスキング)と、使ってよいサービスの指定を組み合わせます。

具体例

情報の区分表を作る

ある会社は、社内の生成AI利用ルールに区分表を付けました。公開済みの資料は入力してよい。顧客名を含む議事録は、氏名を「A社」「Bさん」に置き換えれば入力してよい。未発表の決算情報や人事評価は入力禁止。迷ったときの相談先も明記しました。区分表は年に一度見直し、新しく使い始めたサービスの扱いも追記します。

問い合わせメールの返信案を作る

顧客のメールをもとに返信案を作るときは、氏名・電話番号・注文番号を伏せてから入力します。返信案ができたら、伏せた部分を人が戻します。AIに必要なのは問い合わせの中身であり、個人を特定する情報ではありません。

よくある誤解

社内向けのAIツールなら、何を入力しても問題ない。

社内向けと呼ばれていても、外部のAIサービスにデータを送っている場合があります。データの保存場所、保存期間、学習に使われるかを契約や設定で確かめてから、入力の範囲を決めます。無料版と企業向けの版で条件が異なるサービスもあるため、版ごとに確かめます。

氏名を消せば、個人情報ではなくなる。

氏名が無くても、部署・役職・日付などを組み合わせると個人を特定できることがあります。何を伏せれば十分かは情報によって違うため、迷う場合は社内の担当部署に確認します。

学習データの利用設定(オプトアウト)

多くの生成AIサービスには、入力した内容をサービス側のモデル学習に使うかどうかの設定があります。学習に使わせない設定をオプトアウトと呼びます。業務で使う場合は、この設定や企業向けプランの契約条件を確認し、機密情報や個人情報の扱いを組織のルールに合わせます。何を入力してよいかを決める入力管理と、セットで考える項目です。設定は利用者ごとに変えられる場合があるため、管理者側で統一します。

PEP検定での位置づけ

この用語は PEP検定 シラバス第5章「生成AI利用時における倫理・リスク管理・法律上の考慮事項」の範囲です。

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用語を「使える力」にする

PEP検定は、こうした用語を実務のプロンプト設計と評価に結びつける力を測ります。練習問題で確かめてみてください。