プロンプト手法

Chain of Thought(思考の連鎖)

結論の前に途中の考え方を書かせることで、計算や多段の推論の精度を上げる手法。

Chain of Thought(思考の連鎖)とは

Chain of Thought(CoT:思考の連鎖)は、結論を出す前に、途中の考え方を順に書かせる手法です。計算、条件の多い判断、複数の手順を踏む推論などで精度が上がることが知られています。

LLMは、前に書いた文章を手がかりに次の言葉を選びます。いきなり結論を書かせると、途中の計算や確認を飛ばして誤りやすくなります。途中の考えを書かせると、その一つひとつが次の判断の足場になります。

やり方は大きく2つです。「段階的に考えてください」のように指示だけで促す方法と、考え方の手順を含んだ例を示す方法です。業務では、確認すべき観点を順番に指定する形が使いやすいです。最近は、内部で考えてから答える「推論モデル」も増え、明示的な指示が要らない場面も出ています。

途中の考えが見えると、人がどこで誤ったかを確かめやすくなる利点もあります。ただし、書かれた理由が実際の判断の過程と一致するとは限りません。重要な判断では、結論と理由の両方を人が確かめます。

具体例

経費精算の規程チェック

悪い例では、AIはいきなり結論を出します。条件の見落としがあっても、どこで間違えたか分かりません。良い例は、確認する観点を順番に示し、最後に結論を書かせています。上限額の計算や例外規定の当てはめを飛ばしにくくなります。人が理由を読んで判断を確かめることもできます。

悪い例

この出張旅費の申請は規程上OKですか?

良い例

添付の旅費規程に照らして、次の申請が認められるか判断してください。 次の順に確認し、各項目の結果を書いてから結論を出してください。 1. 出張の区分(日帰り・宿泊) 2. 宿泊費の上限と申請額の比較 3. 交通手段が規程の条件を満たすか 4. 例外規定に当たるか # 出力形式 各項目:確認結果(根拠の条文番号) 結論:承認可/差し戻し(理由を1文)

推論モデルを使うとき

内部で考えてから答える推論モデルでは、「段階的に考えて」と書かなくても途中の検討が行われます。この場合は、考え方を細かく指示するより、確認すべき観点と結論の形を伝えるほうが効果的です。

よくある誤解

どんな質問にも「段階的に考えて」と付ければ、精度が上がる。

効果が大きいのは、計算や多段の判断です。単純な分類や言い換えでは差が小さく、出力が長くなる分だけ費用と時間が増えます。作業に応じて使い分けます。

AIが書いた途中の考えは、実際の判断の過程をそのまま表している。

途中の文章は、結論を導く助けになりますが、内部の処理を正確に写したものとは限りません。理由がもっともらしくても、結論は別に確かめます。

自己整合性(Self-Consistency)

自己整合性(Self-Consistency)は、Chain of Thought で同じ問題を複数回解かせ、最も多く出た答えを採用する手法です。1回の推論は途中で道を誤ることがありますが、複数回の多数決でその揺れを吸収できます。計算や論理の問題で精度が上がる一方、費用と時間は回数分かかります。正解が1つに決まる問題で、確実さを優先したいときに使います。答えが割れた場合は、問題文が曖昧である合図として見直しに使えます。

PEP検定での位置づけ

この用語は PEP検定 シラバス第2章「プロンプトエンジニアリングの基本概念と技術」の範囲です。

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用語を「使える力」にする

PEP検定は、こうした用語を実務のプロンプト設計と評価に結びつける力を測ります。練習問題で確かめてみてください。