4-1. カスタマイズの必要性と応用事例

汎用モデルは社内の規程、製品仕様、最新の価格表などを知りません。また、返答の口調や形式を業務の標準に揃えたい場合もあります。こうした「知識の追加」と「振る舞いの調整」がカスタマイズの目的です。

事例としては、社内FAQに答えるチャットボット、契約書の条項チェック、自社の文体に沿ったマーケティング文の生成などがあります。

  • 目的は「知識の追加」と「振る舞いの調整」の2つ
  • まずはプロンプトで足りるかを試す

4-2. 基本的なカスタマイズ技術

最も軽いのはプロンプトの調整です。システムプロンプトに役割・ルール・用語集を置き、例を添えます。公式が挙げる基本の技術は、パラメータ調整、追加データによる学習、モデル評価と最適化の3つです。

追加データによる学習は、業務に関係するデータでモデルを微調整し、応答の精度を上げる方法です。データの品質がそのまま結果に出るため、ノイズや誤情報を取り除いたうえで使います。

どの方法を選ぶにしても、評価データ(質問と正解の組)を先に用意します。評価データが無いとカスタマイズの効果を比較できず、良くなったのか悪くなったのかが判断できません。

  • 基本は パラメータ調整・追加データ学習・モデル評価と最適化 の3つ
  • 評価データ(質問と正解の組)を先に作る
  • データの品質が結果を左右する

4-3. 高度なカスタマイズ手法

RAG は、質問に関連する文書を検索してプロンプトに差し込み、それを根拠に答えさせる手法です。モデルを再学習しないため、文書を更新すれば答えも更新され、根拠を示せる利点があります。文書の分割(チャンキング)と検索の精度が品質を左右します。

ファインチューニングはモデルの重みを追加学習で変える手法です。専門分野の知識と言い回しをモデル自体に取り込めるため、金融や医療、法務のような特化モデルに使われます。ただし学習データの準備とコストがかかり、情報が変わるたびに再学習が要ります。更新の多い知識や出典の提示が必要な用途は RAG、専門領域への特化や口調・出力形式の固定はファインチューニング、が目安です。

ファインチューニングには3つの種類があります。モデル全体を学習し直す全モデルファインチューニングは精度が高い一方、大規模な計算資源が要ります。PEFT(Parameter-Efficient Fine-Tuning)は少ないデータと資源で実施でき、中小規模の環境でも導入しやすい方法です。LoRA(Low-Rank Adaptation)は重みを低ランクの行列に分解して効率よく調整する方法で、資源が限られた環境に適します。最初は PEFT や LoRA から試すのが現実的です。

実施には、タスクに即した高品質なデータセット、GPU やクラウドなどの計算資源、機械学習とプログラミングの基本的な理解の3つが要ります。手順は、データの準備 → モデルの選定 → ファインチューニングの実施 → テストと評価の4ステップです。

RAG の導入は、知識ベースの準備 → 検索エンジンの構築 → RAG モデルの設定 → テストとデプロイの4ステップで進めます。

  • 更新の多い知識と出典提示=RAG、専門領域への特化と振る舞いの固定=ファインチューニング
  • ファインチューニングは 全モデル / PEFT / LoRA の3種類。まずは PEFT・LoRA から
  • RAG の品質はチャンキングと検索で決まる

出題の傾向と勉強のコツ

  • プロンプト・RAG・ファインチューニングを「コスト」「更新のしやすさ」「向いている目的」の3軸で表にして覚える
  • RAG の流れ(分割 → ベクトル化(埋め込み)→ インデックス作成 → 検索 → 生成)を図で描けるようにする
  • 練習問題の「カスタマイズ」カテゴリで確認する

この章の重要用語