モデル・技術

アラインメント

モデルの振る舞いを人間の意図や価値観に沿わせる取り組みの総称。

アラインメントとは

アラインメントは、モデルの出力を人間の意図・価値観・安全上の要請に沿わせる取り組みの総称です。「役に立つ」「害を与えない」「正直である」の3つが、目標としてよく挙げられます。

事前学習だけのモデルは、大量の文章から「続きを書く力」を身につけただけの状態です。依頼に素直に答えるとは限らず、有害な内容や偏った内容も出力し得ます。そこで、人の評価をもとにした追加学習(RLHF など)や、守るべき原則を与えて学習させる方法で、振る舞いを整えます。

実務で知っておきたいのは、アラインメントは確率的な調整であり、完全ではない点です。調整済みのモデルでも、言い回しを工夫した依頼で制限をすり抜けられることがあります。逆に、慎重すぎて正当な依頼まで断ることもあります。

そのため、利用する側でも対策を重ねます。入力と出力の検査(ガードレール)、扱う情報の制限、重要な判断に人が関わる仕組みなどです。モデルの調整に任せきりにせず、業務の側で安全を設計する姿勢が求められます。

具体例

社内チャットで「断りすぎ」に気づく

社内の問い合わせチャットで、「競合他社の製品と比べた弱み」を聞くと回答を断られる、という声が出ました。モデルが慎重側に調整されていたためです。システムプロンプトで「社内の検討目的であり、公開情報の範囲で比較してよい」と前提を伝えると、必要な回答が得られるようになりました。アラインメントの傾向を理解すると、指示で補える場面が分かります。

公開サービスでの多重の備え

顧客向けのチャットを公開するとき、モデルが調整済みであることだけを安全の根拠にはしません。入力に個人情報や攻撃的な指示が含まれていないかを検査し、出力も禁止表現を含まないか確認してから表示します。万一の誤回答に備えて、問い合わせ窓口への導線も用意します。

よくある誤解

アラインメント済みのモデルなら、不適切な出力は出ない。

アラインメントは出力の傾向を整えるもので、完全な保証ではありません。巧妙な依頼で制限をすり抜けられる例も知られています。公開する用途では、入力と出力の検査や人による確認を組み合わせます。

アラインメントは開発企業の仕事なので、利用者には関係ない。

モデルの調整は開発側の仕事ですが、どんな情報を渡し、出力をどう使うかは利用側が決めます。社内規程やシステムプロンプトで用途を絞ることも、安全に使うための大切な工夫です。

指示チューニング

指示チューニングは、事前学習を終えたモデルに「指示と望ましい応答」の組を大量に学習させ、人の指示に従えるようにする工程です。事前学習だけのモデルは文章の続きを書くことはできても、依頼に答えることは得意ではありません。この段階を経て、対話型サービスとして使える形になります。人の価値観に沿わせるアラインメントの、最初の段階に当たります。指示チューニングもファインチューニングの一種です。同じ方法を自社のデータに使うことを、一般にファインチューニングと呼びます。

PEP検定での位置づけ

この用語は PEP検定 シラバス第1章「生成AIと大規模言語モデルの基礎知識」の範囲です。

章の学習ページを読む →
Next Step

用語を「使える力」にする

PEP検定は、こうした用語を実務のプロンプト設計と評価に結びつける力を測ります。練習問題で確かめてみてください。